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産地訪問<扇子>【滋賀のデザイン会社:スタッフ日記5.29】

今年(2013年)の1月末、確か雪が降りそうな日でした。
扇子の産地、滋賀県高島市の鈴木扇子さんを訪ねました。
ココノカの扇子の製作をお願いしています。
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滋賀県の西部に位置する高島市は竹製扇骨の産地でもあります。
扇骨(せんこつ)とは文字通り、扇子の紙以外の部分=骨部分を言います。
歴史は古く、都の貴族がこの地に隠れ住んで扇子作りを始めたとか、
落武者が生計を立てるために始めたというさまざまな説があります。
史実では江戸時代に市内を流れる安曇川の氾濫を防ぐために植えられた竹を使って、
農閑期(冬季)の仕事として始められたと伝えられています。
現在、国産(竹製)のシェア約90%を占めています。

両外側(太い竹)の2枚を「親骨」、内側(細い竹)を「仲骨」と言います。
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親骨の製作には18工程、仲骨は16工程、全部で34工程にも及び、
専門の職人から職人へ作業が移る分業体制になっています。
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材料となるのは竹の皮と中身を削り取ったごく一部。9割が廃材になるといいます。
機械でできる作業もありますが、薄い竹を扱うためほとんどが手仕事。
当然ながら長さ、形、光沢が揃っているのが扇骨、一寸の狂いも許されない作業は
熟練の技が必要です。ここまでとか、この角度でとかいうマニュアルなどなく、
それぞれの職人の手先の感覚と独自に編み出した手法によるものだそうです。

写真はおおかたのカタチになった扇骨1枚1枚に穴を開けて、
1300枚を1本の細いさし棒に差して、一枚板のようにして、包丁やノミ、
小刀などで削ってカタチを整えていく作業。
これは親骨、仲骨それぞれの作業と作業の間に何度も繰り返されます。
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この後、沸騰したお湯で煮て漂白して、天日干しにされます。
竹の青みをとり、カビが生えないように乾燥させるためです。
天日干しによって多少伸縮するのでまた削り直されます。
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そして、紙が入りやすいように先を細く削り取り、扇子の種類によって本数を合わせていきます。
不良品を取り除きながら色を揃えたら、ようやく1本の扇骨の姿になります。最後は紙を貼る作業。
和紙を重ねて色づけし、閉じた扇子の状態に折り、
和紙と和紙の間に糊を塗った扇骨を通していきます。
親骨を糊と糸で固定させて、要をつけたらようやく完成です。製作期間はおよそ1ヶ月。

ココノカの扇子は紙ではなく、布にしました。湖東地域で織られている麻織物を使いました。
紙より使いやすく、見た目も涼しげで風もしっかりくるような気がします(^_^) 
骨の色もいろいろありますが、ココノカの柄に合う黒色を選びました。
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団扇は古くから中国などでも使われていましたが、扇子は日本発祥のもの。
遙か昔は和歌をしたためて贈られていたといいます。今で言う(言わないかも)ラブレターですね。
贈り物にもふさわしく末広がりで縁起もいいですし、今や地球温暖化対策のエコグッズです。
おひとついかがでしょう。

→ココノカの扇子はこちら